INTERVIEW
- cmapの概要
- 台風・豪雨・地震による建物の被害件数をリアルタイムで予測し、無償で一般公開する世界初※のウェブサイトです。当社とエーオングループジャパン、横浜国立大学の共同研究の一環で2019年にリリースしました。その後も様々な機能を追加していますが、自然災害が発生した際に役立つ情報をすぐに提供できるよう、アプリ版もリリースしています。
- なお、cmapの「c」は、自然災害を意味するcatastrophe(カタストロフィー)の頭文字cをとったものです。
- ※2019年6月当社調べ
- 取組みの概要
- cmapは、「損害保険会社の保険金支払データとデジタル」を活用して、自然災害に関するリスクをリアルタイムでウェブサイトの地図上に可視化する取組みです。例えば、台風が発生すると上陸する前から3パターンの予想進路と、最大7日先の被災建物数を予測し、市区町村別に表示します。豪雨や地震においては、発生直後から予測結果を表示します。その他、警戒レベル3~5相当の情報や、気象・災害・ライフラインに関するSNSの速報など、災害に関するさまざまな情報を確認いただけます。
- また、アプリには、日常から利用できる天気予報や渋滞情報がある他、災害時の緊急情報をプッシュ通知する機能もあり、どなたでも手軽に様々な情報をご確認いただけます。
- 開発の背景
- 2018年の台風21号では、事故受付を多くて3万件と見込んでいたところ、実際には13万件となりました。さらに、同じ年の台風24号では7万件の受付がありました。そのため、事故の受付から保険金の支払いまでのすべての工程でオーバーフロー状態となり、お客さまをお待たせすることになりました。被害の規模を精緻に予測できれば、迅速に保険金をお支払いするために必要な人員の確保などを早期にすすめることができます。cmapを開発することで、自然災害による被害の規模を早期に把握し、社内体制を構築することができるようになりました。
- cmapを活用した防災・減災取組み
- 自然災害が発生してから色々なサイトを見て情報を収集することは大変ですが、cmapは、災害発生前後の情報をワンストップで確認することができます。例えばSNS情報は、大雨の情報や河川の増水、河川の氾濫等、地域のリスクをまとめて表示しており避難の判断をする際の参考情報として活用いただくことができます。平時もハザードマップや、避難所の位置情報など、地域の防災・減災に役立つ情報をどなたでも確認いただけます。
- cmapを活用した防災・減災取組みは、今年3月、内閣府特命担当大臣が表彰する地方創生に資する金融機関等の「特徴的な取組事例」に認定されました。
- 詳細:
内閣府特命担当大臣(地方創生担当)が表彰する地方創生に資する金融機関等の「特徴的な取組事例」を受賞 - 自治体との共同・活用事例等
- 当社は、長野県職員向けcmapを構築し、東京大学・JAXA、名古屋大学とともに、洪水予測データを活用した流域治水の共同研究を行っています。また、総務省消防庁が2022年に策定した『大規模災害時の救助・捜索活動における関係機関連携要領』で、災害時の情報収集サイトの1つとして民間で唯一、cmapを取り上げていただいた他、福井市の防災ハンドブックで防災ツールとしても紹介いただいています。
- 今後の展開
- 自然災害の激甚化により、お客様や地域社会が抱えるリスクがより高まっています。
- 従来の保険は事故が起きた後の補償という考え方が中心でしたが、保険の基本機能にとどまらず、事故や災害を未然に防ぐ機能、事故や災害の影響を減らし回復を支援する機能など、社会課題の解決に寄与する付加価値を高めたサービスを提供し、レジリエントな社会づくりに貢献できるよう努めてまいります。
- (2023年3月時点)